遺言の執行人と相続人

「夫と同じお墓に入りたくない」そんな「遺産相続以外の内容」のご希望があって、自筆証書遺言を残されるのであれば、弁護士に死後事務委任を依頼することを検討してみてはいかがでしょうか?


埋葬方法について遺言に記載しても付言事項として扱われ、法律的な効果はない(守らなくてもペナルティはない)です。
相続人間で遺言の内容と違う遺産相続が行われてしまうこともあるぐらいですから、付言事項を守らない相続人がいても全然不思議ではありません。

しかし、遺産相続以外の遺言をあえて遺している本人にとっては、よっぽど大切な事のはずです。ですが、相続人も執行のプロフェッショナルではありません。その人の生活もあり、関係者との人間関係も続きますから、周りの人に影響されたり、他の相続人に迫られたりと、色々な事情があり遺言通りに遂行できないことがあるようです。

また、その遂行にお金がかかることが判明し、遺言を守らなければ自分の受け取れる遺産が増えるという、利益と損失が相反する関係になる事もあり、利益を優先してしまう人もいらっしゃるでしょうね。
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では、どうしたら良いのでしょうか。
それは、遺言書に付言事項(埋葬の希望など)を書くのもいいですが、死後に必ず実行して欲しいことは、遺言ではなく、死後事務委任契約をすることをお勧めします。
委任者は、信頼できる第三者、例えば、弁護士等が適任だと思います。

おひとり様に必要な契約

結婚していらっしゃらない方、お子様がいなくてパートナーもいない方(おひとり様と言っています)は、終活(遺言書の作成等)をされているので安心!とお考えではないですか。


そうだとも言えないんです!


そもそも遺言書(自筆、公正証書等)にご自身が希望する埋葬方法を記載しても
法的拘束力はなく、付言事項として記載されるだけです。相続人は遺言書に記載されてある方法を実現しなくても良いのです。

たとえ、後見人(任意後見人も含みます)がいても、本人が死亡することにより、業務が終了しますので、死後のことについて本人の意思を実現する行為はしません。

ではどうするのか。
自分の死後のことについて実現してほしいことがある場合、死後事務委任契約を締結することが重要になります。

次回は、死後事務委任は誰に何を依頼するのかについてお話したいと思います。

自筆証書遺言書保管制度

2020年7月10日から法務局で自筆証書遺言書を保管する制度がはじまります。
そして、7月1日より予約がはじまりますね。

そもそも、自筆証書遺言書とは、財産目録以外の全て(遺言の内容、日付や名前)をパソコン等を利用せず手書きで作成する遺言書です。

その自筆証書遺言書は、自分一人で作成し、自宅で保管されていることが多いため、無くなったり、捨てられたり、改ざんされたりすることがあります。
そう考えると、せっかく遺言書を作成しても、遺言者の意思を実現できない可能性があります。

そして、自宅に保管されていた自筆証書遺言書は、発見後、裁判所で検認してもらう必要がありましたが、この制度を利用すると裁判所の検認手続きは不要となります。
保管してもらうことによって無くなったり,改ざんされる危険性は無くなりますし、また、検認の手間がかからなくなりますね。

しかし、自筆証書遺言書を法務局で保管してもらっていたからといって遺言書の内容が有効であるかどうかはまた別の問題です。
自筆証書を作成してせっかく法務局で保管してもらっても無効となるような内容の場合、結局遺言者の意思を実現することはできません。

自分が亡くなった後自分の意思を実現するためにも保管制度を利用する前に、遺言書の内容が有効かどうか専門家に相談された方がいいと思います。


資産家と結婚した人の孫と相続

今日は、フジテレビの「アンビリバボー」で放送された、元監察医の上野正彦さんが鑑定された事件のお話をしようと思います。

この事件は、とある老夫婦がお風呂でほぼ同時に死亡(病死)されたのですが、どちらが先に亡くなったかが争われました。というのも、どちらが先に亡くなられたかで、相続人が受け取れる相続財産が変わるからです。

この事件での相続人は、資産家のお祖母様の甥姪と、義理の孫(=夫のお孫さん)です。

もしお祖母様が先に亡くなられている場合、甥姪は4分の1、義理のお孫さんは4分の3を受け取れます。その逆でご主人が先に亡くなられている場合は、全て甥姪が相続することになります。

甥姪にしてみれば、叔母さんの財産を、ご結婚されたご主人が相続するのはまだしも、見ず知らずの義理の孫が75%も持ってゆく事が許せなかったのでしょう。裁判で争われることになりました。

法医学的には、お祖母様が先に亡くなられたとの事でしたが、裁判所の判断は、同時死亡ということになりました。同時死亡の法定相続の場合、甥姪が100%相続する事になりますが、この案件では結局和解されたそうです。

弁護士が作る遺言書と、自分で作る遺言書で一番異なってくるのは、このようなすでに相続人が死亡しているケースを想定して作られているかどうかでしょう。

飲食店経営と相続放棄

ご夫婦で飲食店を経営されていて、突然ご主人が亡くなられたような場合、なかなかお店の継続は難しいかもしれません。そのような場合で、ローンがまだ沢山残っているのに、財産がほとんどない場合には、相続放棄という手法によって、お店の借金から逃れることができます。

ただ、相続放棄には注意点があり、それが認められるためには、相続放棄の前に勝手に相続財産を使いこんではいけないというルールがあり、注意しなければなりません。

「相続財産を使う(=処分行為)」とは、例えば、「お店にある高額なワインを処分」したり、「仕入れ業者からの請求書を、お店のお金で支払う」ことなども含まれるとされ、それが処分行為をしたと見なされると、法定単純承認という「借金の相続」になり兼ねません。

悩ましいのは、テナントの賃貸借契約を解除しないことには、毎月の家賃がかかる一方、解除するにあたって、店内の冷蔵庫等を処分する必要があり、安全に相続放棄するには、それなりのテクニックを必要とします。

ご主人が亡くなられて、気が動転している時に、請求書があったら、払ってしまいますよね。ご注意ください。

”おひとりさま”の死後の話

お子様がいらっしゃらない場合、離婚や死別で”おひとりさま”になる事があります。そんな”おひとりさま”が亡くなられた時、どうなるかご存知ですか。

亡くなられた地の市町村長により火葬され、埋葬されます(墓地・埋葬等に関する法律第9条)。

もっとも、市町村が葬儀を行うことはありません。ただ火葬されるだけです。

そして、”おひとりさま”の遺骨・遺品は市町村で保管・管理されますが、遺骨は一定の期間(およそ5年)保管した後、縁者のいない方々が葬られるお墓(無縁塚)に一緒に埋葬され、お墓を立てたりもしません。

寂しすぎませんか。

これは、自分の死後について何も対処していなかった場合の話です。死後のことについても弁護士に委任する事ができます。

兄弟と遺言書

お子様のいらっしゃらないご夫婦の場合、遺言書なしに配偶者に先立たれた場合、不動産などの財産は誰のものになるかご存知ですか?

配偶者に75%、配偶者の兄弟に25%という割合で相続されます。配偶者の兄弟がもう亡くなられている場合でも、子供がいれば、その子供が相続します。

例えば、住んでいるお家が9000万円、預金が1000万円しかない場合、住んでいるお家が高額すぎて、なくなった配偶者の兄弟の取り分2500万円を捻出するためにお家を売却しなくてはならないこともあったのですが、2020年4月から、配偶者居住権により、住み続けることができるようにはなりました。

とは言うものの、遺言書を作成しておけば、そもそも兄弟には遺留分がないため、取り分を0%にして、ご自分が先立たれた後の配偶者の生活を守る事ができます。

ですから、お子様がいらっしゃらない場合は、遺言書の作成をお勧めします。